Panama Hotel - Seattle



(photographed by Eric Flexyourhead)






さて、ダラダラと書いてきた一泊旅の記録もこれでおしまい。
実は今回のシアトル行きの目的は、前述のSeattle Art Museumの企画展を観ることと、もうひとつ、Panama Hotelという、古いホテルに寄ってみることでした。
先日母親が送ってきた、「あの日、パナマホテルで」という小説を読んで、どんなホテルなのかちょっと見てみたくなった、というのがその理由。

このPanama Hotel、日系移民が数多く住んでいたいわゆる「日本町」(インターナショナル・ディストリクト)にあり、シアトルの日系移民の歴史を語るには欠かせない建物。
ピーク時には2万人ほどの日系移民が住んでいたとされる日本町は、バンクーバーと同じく、戦時中に日本人及&日系人の強制収容が始まり、すべての家族が財産、不動産、仕事を失い、すっかり廃れてしまいました。
小説にも出てきますが、強制収容所に送られるとき、両手で持てるだけの荷物しか持って行けなかったため、日系移民の何世帯かが、いつか戻ってきたときのために、と持って行けなかった所持品をこのホテルの地下に置いていったそうです。
ただしほとんどの家族は戻ることなく、1986年にオーナーが変わった際に、まるでタイムカプセルのようにたくさんの所持品が発見されたとのこと。
予想通り、ホテルのティールームの入り口には、文庫本が置いてありました。
壁には、かつての日本町の写真が何枚も飾られています。
今は入ることができないけれど、アメリカに唯一残っている日本式の銭湯が地下に残されているそうです。
そのティールームで、ほうじ茶ラテを飲んでみたら、すごく香りが良くて美味しかった。
でもカップがイタリアのコーヒー・メーカーのもので、もっと日本っぽい茶器にすればいいのになあ、と思った次第。

この小説、全米で100万部を超えるベストセラーとなったそうで、とても良い本なのだけれど、どうも翻訳がヘタクソ(スイマセン)というか好みでないというか。
というわけで、普段はまったく本を読まないダーもめずらしく、読みたい、と言うし、英語版を取り寄せることにしました。
原題は「Hotel on the Corner of Bitter and Sweet」。
今チビチビと読んでいるところ(原文だと日本語ほど早くは読めない)、やはり原文の方が断然イケております。
ちゃんとした感想は、ものすごく長くなりそうなので割愛しますが、夫婦愛、親子愛、初恋、移民、戦争などなど、いろいろなテーマが盛り込まれていて、どんな人にも共感できる部分はあるのじゃないかと思うので、一読の価値ありかも。

ところでこのホテル、やっぱりというか何というか、シアトルで幽霊の出るホテル・リストに入っていました(笑)
Check In (But Never Check Out) Seattle's Most Haunted Hotels